平成二十三年
妙法 清澄院日大信士位
六月二日
俗名 田中大偉
享年十六歳
1本の電話が回ってきた・・・先輩からだった。
K-ikeさんのお母さんが昨日亡くなったと・・・
ついこの間、会社に向かう途中でお話ししたばかりで、今週先輩とツーリングの約束をしていたらしい。
K-ikeさんとは、入社以来のお付き合いで、
会社の野球チーム・・・
キャンプ・・・
山・・・
と色々と遊びに出かけた。
はじめてキャンプに誘われた時は、「えっ~、キャンプ・・・?」なんて思ったが、
したこともなく断るのはと思い、出かけたのがはじまり。
それ以来、毎週とはいかないがほとんどキャンプに出かけた。
しかも、今度は裏山を登ってからのキャンプと段々とグレードが上がる。
山・・・中学の時に学校で登ったが、あまり良い思い出ではなかったので、気は進まなかったが、それでも山頂にたった時は、素晴らしい景色で、達成感を感じていた。
ある日・・・その先輩も誘いキャンプ・山に出かけた。
先輩は、マラソンマンなので、体力も十分。
私は、並みかな?
K-ikeさんといえば、かなりポンコツ。
それが、下りとなると一転して一番になる。
ニュートラルで下っていくからだ。
そんなこんなで入社1~2年が過ぎた。
ある日のキャンプ・・・夜
お酒を飲み火に薪をくべながら・・・・二人はボーッと火を見ていた。
車からのBGMはオフコース。なんともくらい曲だけど、最近ファンクラブに入ったらしくかなりの熱の入れようだった。
その横を女性達が通りすがり、「オフコース」もいいよね!というのが聞こえた。
おやじと青年が、薪をくべながらボーッとしていう光景はどう写っただろう・・・
引くよね~
次の瞬間・・・・
ぼそっと。
今度、北アルプスに行かない?
北アルプス・・・?
長野?
マジで~って感じ。
今までの裏山は、北アルプスに行くための準備だったのだ。
そうと決まれば、山屋に行き、色々と準備を開始した。
その年の夏・・・中房温泉から燕岳へ上がり大天井岳をかすめ
槍ヶ岳へ抜けるルートで私たちの初登頂を目指した。
初日は、雨・・・なんでと思いながら、
このまま、雨なのかなぁ~。
ツアーで来ているのか、おばちゃん達は超~元気。
あのトーンで話しているから・・・うるさい。
せっかくの夏休み・・・K-ikeさんんと?と思いながら
燕岳山荘の素泊まりにとまった。
ほとんどの方が一泊二食付。
水だけ持てば、夕飯付、次の日の朝食付き、さらにお昼のおにぎり付なども。
一つだけ違うのは寝床。
混雑時は、一畳もないところで寝ないといけないのだが、
寝返りは不可能!
素泊まりの人達は別棟だったりするので、余裕で寝床が確保できる。
素泊まりする人は少ないから・・・。
下から、水と食料を担ぎ上げるほうが、寝床を優遇されるなんて・・・
今では、予約すれば個室も確保できるんだから、そうとう昔と変わったと思う。
で・・・
翌朝。
わぁ~という声が聞こえる。
戸を開け、外に出ると
見渡す限りの雲海。
こんなの見たことない。
前の日は雨で・・・とても次の日にこんな光景が目の前で見られるなんて、信じられなかった。興奮した。
本当に来てよかったと思えた瞬間だった。
そこから、さらに二泊し、槍ヶ岳(3180m)の頂にたった。
こにくるまで、立山連邦を右に見ながら稜線を歩き、登ったと思ったら梯子で下るなどを繰り返す。
多少ぞっとするところはあるが、それほど気になるところではない。
はじめての経験をさせてもらtった。
あの時、キャンプを断っていたら・・・
北アルプスを断っていたら・・・
こんな経験はこの年になってもなかっただろう。
翌年は、穂高岳。
その翌年は、その先輩と、もう一人の方と蝶ヶ岳・・・
そして、大偉と奥穂高岳と登頂に成功した。
子供達が小さい頃は、キャンプに出かけた。
こうした事も、小池さんが誘ってくれなかったらなかったと思う。
ものすごく感謝している。
また、機会があれば是非行きたいと思う。
あの山の景色をみんなにも見せてあげたい。
見てもらいたいと思う。
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