平成二十三年
妙法 清澄院日大信士位
六月二日
俗名 田中大偉
享年十六歳
今日は、ウグイスの鳴き声はしなかった。
電車を一本遅らせ、自転車に乗り駅に向かっている途中・・・
後ろから、バイクの音。
段々と近くなる。
私は、振り返りながらバイクをやり過ごした。
前に、大偉とすれ違った光景だった。
時間も大体一緒。
すれ違った場所も一緒。
違っていたのは、バイクと乗ってる人。
いつだったかな? 晴れた朝。
お父さんが先に家を出て駅に向かっていると、後ろからバイクの音。
すぐに、大偉だとわかったよ。音がデカイんだもん!
振り向くと・・・
ちっちゃな顔にヘルメット姿。
手をちょこっとあげて、ニコッとして過ぎていったよね。
覚えてる?
合気道の稽古に向かう時も、お父さんの車の後ろについて走って。
バックミラーに映る、大偉を見ながら・・・事故の心配をしながら見ていたよ。
その反面、大きくなったなぁ~と思いながら、うれしく思っていた。
大偉が免許を取得した時、お父さんは羨ましかったんだ。
お父さんも、免許を取って大偉と一緒に走りたかったなぁ~。
大偉のKawasaki ZEPHYR 400 お父さんが免許取って、大偉の分も乗りたいと言ったら、お母さん・・・なんて言ったと思う?
回りが反対するでしょ!と言い、ちょっとだけ反対した。
ダメな事が、また一つ増えちゃったよ。
今日ね、同じクラスのT子君からメールがきたよ。
大偉の班のエンジンが組みあがって、無事にエンジンがかかったってさ。
良かったね!大偉。
仕事の合間にメールに気がつき、見たんだ。
お父さんの仕事場はね、セキュリティが強くて限られた人しか入れない場所で仕事しているんだけど、涙がこぼれ落ちそうになったよ。
ぐっと堪えた。ちょっとでたかも知れない。
大偉がいるはずだった場所にいない・・・でも、そうやってメールをくれた事がとても嬉しくて、嬉しくて、姿はいないけど、大偉の事思ってくれているのかなぁ~って。
大偉はいないけど、学校の実習を感じられる瞬間だった。
メールの末文には・・・
次はトヨタヴィッツです!
大ちゃんヴィッツが組みあがるまで
見守ってね!
と締めくくってた。
大偉、ちゃんと見てあげてね!
午後からお休み・・・会社から浜松町駅に向かう道、急に思い出して泣き出してしまった。目の前がネオンみたいになってしまったよ。
明日は、七七日忌法要。
準備をして、夜、車に乗り一人でお買い物。
ものすごいお月様(ちょっとガスっているから微妙な感じpm7:40頃)
すぐに・・・「お月様見える?」とメールを打った。見えたと返事がきた。
大偉はどういう風に見えるのかな?
今度、教えてね!
七七日忌法要に合わせ、長文メールが届いた。
読んでいたら・・・泣けてきて涙が止まらなかった。
本当に、本当にありがとうございます。
祭壇に納めさせていただきます。
今夜も、綺麗なお月様が出ているね。
大偉、みるちゃんお休み。
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